子供専門の病院「小児科」で働く看護師は、「小児科看護師」と呼ばれます。子供好きな人にとって楽しい職場になりそうです。ただし一般の病院と違い患者さんがすべて子供ですので、看護師は一般的な医療施設とは違った役割を果たす必要があります。大人なら説明しなくても分かるような医療上の知識でも、子供はまだ知らない事が多いです。また、ただ事実を説明するだけでなく、子供でも理解できるような話し方をする必要があります。小児科看護師は子供の気持ちになって、子供の立場になって、病気やけがについて考えるスキルが必要になります。
小児科の看護師は子供の付き添いで病院にくる親とも、きちんとコミュニケーションを取る必要があります。小児科にいる親は、子供の病気やけがに対して不安な気持ちでいっぱいです。病気の説明や治療法の説明は、子供だけでなく、親にもきちんと事前に説明する必要があります。例えば注射をする時、事前に親に説明をしないと、病室で泣き叫ぶ子供の声を聞いて親が不安になる事があります。中には病院を訴えるほど怒る親もいるかもしれません。注射や点滴など、子供が泣きそうな治療をする前には、親にひと言話しておくとトラブルに発展する事も少なくなるでしょう。
病気になった子供や、けがをした子供が入院する病棟の事を「小児病棟」と呼びます。小児病棟で働く事になった看護師は、子供のメンタル面のサポートも重要な仕事になります。親と離れて病院で暮らす時、子供には、様々な不安がつきまとうはずです。病気やけがに対する不安も強いでしょう。看護師は親がいない時間には、親の代わりになるよう子供の様子を見守る必要があります。精神的に不安定になっている子供をみつけたら、声を掛けて不安に思っている事を聞いたり、悩みの相談に乗るようにしましょう。お見舞いにきた親に入院中の子供の精神状態を話して共通の理解を持てるようにする事も大切です。
一般的な病院でも看護師は医師の診察をサポートします。小児科ではサポートの重要性がより高くなるでしょう。まず子供は大人ほど落ち着きがないため、診察中にじっとしているとは限りません。医師が診察しやすいように落ち着かせる必要があります。また注射を嫌がる子供が動かないよう、時には押さえつける必要もあります。泣きそうな子供には、診療行為が怖くない事を伝える必要があります。また、わがままな子供に対しては、厳しい態度を取る必要があります。特に入院をしている子供に対しては、親代わりとして怒るところは怒る事も大切です。もちろん怒るだけでなく、その後のフォローも大切です。